2020年10月村上裕一公認会計士事務所を立ち上げ。
仮想通貨の税金を専門とする税理士として、
仮想通貨の損益計算や確定申告、
節税対策で多くのお客様をご支援しています。
仮想通貨投資で損失が出た場合に確定申告は必要か?
村上裕一公認会計士事務所
代表 村上裕一
こんにちわ。公認会計士・税理士の村上です。
本日は、仮想通貨(暗号資産)投資で損失が出た場合の確定申告の有無について解説します。
よく、赤字であれば確定申告は不要ですよね?という問い合わせを受けますが、実際にはその通りですが、なぜ仮想通貨投資で損失であれば確定申告が不要なのかについて細かく解説します。
なお、ここで申し上げているのは、個人での暗号資産(仮想通貨)取引を前提としています。 会社を立ち上げ、事業として仮想通貨取引を行っている場合は、扱いが異なる面がありますのでご留意ください。
仮想通貨投資で損失の場合の確定申告
仮想通貨投資で損失の場合は確定申告は不要
まず最初に結論から述べますが、仮想通貨投資で損失が計上されている場合はそもそも確定申告が不要となります。
また、会社員で副業から20万円以下の収入であれば、確定申告は不要となります。ですが、その場合でも住民税の申告は必要になります。
仮想通貨投資で損失であれば、住民税の申告も不要となります。
結果として、仮想通貨投資で赤字であれば、所得税の確定申告および住民税の申告の両方とも不要となっています。
これは、仮想通貨の所得の以下の2つの特徴があるために不要となっています。
結果として、確定申告で損失を申告したとしても税金の額は変わらないため、確定申告は不要となっています。
仮想通貨所得の特徴① 他の所得と相殺できない
仮想通貨投資から損失が出た場合の特徴ですが、まず、他の所得と相殺できない(損益通算ができない)という特徴があります。
例えば、給料で収入を得ており、給与所得が400万ある人が、仮想通貨投資で100万の損失を計上した場合、税金は給与所得の400万にかかることになります。
給与所得400万-仮想通貨の損失100万=300万に対しての税金とならないのです。
仮想通貨の損失を計上したとしても、所得が下がり、税金が下がることにはならないという特徴があります。
仮想通貨所得の特徴② 損失を繰越できない
さらに、仮想通貨の投資については、損失を繰越できない、という特徴があります。
株式であれば、損失を繰越することができます。
株式投資の場合、例えば、1年目に50万円の損失を計上し、2年目に120万円の利益であれば、2年目の税金は70万円(120万-50万)に対して税金が課税されることとなっています。
一方、仮想通貨の投資は損失を繰り越せないため、1年目に50万円の損失、2年目に120万円の利益であれば、2年目の税金は、120万円全額に対して課税されることとなっています。
仮想通貨以外に他の雑所得がある場合は、損失を相殺できる
なお、仮想通貨の投資で損失なら基本は確定申告が不要で考慮しなくても良いこととなっていますが、例外的に「他の雑所得で収益がある場合」は仮想通貨投資の損失を考慮した方が節税につながる面があります。
同じ雑所得でも、FXは分離課税の対象なので、相殺できません(FXの分離風についてはこちら参照)
仮想通貨の損益ですが、雑所得かつ総合課税の対象となっているものは、仮想通貨投資の損失を加味することで、所得を下げて節税へとつながる面があります。
仮想通貨の損失で留意するべき事項
保有している仮想通貨の含み損失は加味しない
仮想通貨投資の損益ですが、仮想通貨の損益が発生するタイミングは、以下の4つの時点と国税のFAQで明記されています。
【仮想通貨で損益が発生するタイミング】
①売却時
②交換時
③決済時
④マイニング時
そのため、期末で保有している仮想通貨の時価が下がり、含み損があるものを損失としてカウントすることはできません。 あくまでも、実現した損失のみカウントすることになるので留意が必要です。
仮想通貨内での損益は通算できる
また、よく勘違いされますが、仮想通貨内での損益は通算可能です。
仮想通貨投資の損益ですが、 他の所得(給与所得や事業所得)等と相殺できないものの、仮想通貨内の損益は相殺可能(いわゆる内部通算は可能)となっています。
そのため、例えば、ビットコインで200万の利益が出て、リップルで50万の損失が出た場合は、150万の仮想通貨所得として税金がかかってきます。
仮想通貨(暗号資産)のFX取引も含める
また、仮想通貨のFXの損益も、仮想通貨投資の損益として扱うことに留意です。
通常のFX取引と仮想通貨のFX取引は、税金の計算上、別の扱いになるので留意が必要です。
通常のFXは雑所得の分離課税として、一定の税率になりますが、 仮想通貨のFXは仮想通貨投資と同じ雑所得の総合課税となり、超過累進課税の対象となっています。