大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。
仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
仮想通貨の税金が高い三大理由について解説
村上裕一公認会計士事務所
代表 村上裕一
こんにちは。公認会計士・税理士の村上です。
本日は、仮想通貨の税金が高い3大理由について説明します。
よく、仮想通貨の税金って高いよね~とは聞きますが、実際にどういう理由で高くなっているのかについて、現状の税制を交えつつ解説します。
仮想通貨の税金が高い3大理由
理由その①:総合課税で最大税率55%
理由その①としては、何といっても雑所得で総合課税の対象という点です。
そのため、所得税の税率(5%~45%)に住民税(一律10%)を加算すると最高税率が55%となります。
所得税の税率の表は下記の通りです。
【所得税の早見表】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5%
|
0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,990,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,990,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
上の表を見ていただければ分かりますが、4,000万円以上の利益に対しては、所得税45%及び住民税10%の55%が税率となるのです。
結果として、仮に1億円などの非常に多額の利益を出したとしても、税金を半分程度もしくは半分以上を納税しなければならないのです。
なお、仮想通貨の最大税率が55%であること、および今後の税制改正については、こちらのブログにても解説しています。
ブログ「【衝撃!】仮想通貨の税金は最大で55%」
理由その②:他の所得と損益通算できない
その次としては、損益通算です。
仮想通貨投資の損益は他の所得と相殺することができません。
通常の会社員が仮想通貨投資を行っている場合、仮想通貨投資の損益以外に給与所得がありますが、仮想通貨投資で損失が出たとしても給与所得を下げることができず、税金は一定のままになるのです。
具体的な例を交えて説明します。
例えば年収600万の会社員の場合、所得税と住民税で約100万くらいの税金が発生するのですが、
仮にこの状態で、仮想通貨投資で100万の損失を出したとしても、税金は約100万のまま変わらないのです。
なお、他の所得(事業所得や給与所得など)と相殺はできないものの、仮想通貨投資内の損益は相殺できます。
なので、ビットコインで100万円の利益、リップルで30万円の損失であれば、仮想通貨の利益は70万となり、70万に対して税金がかかります。
詳細はこちらのブログでも解説しています。
ブログ「仮想通貨の税金の損益通算について」
理由その③:赤字を繰越できない
最後に、仮想通貨の税金が高い理由としては、赤字が繰越できないという点です。
株式投資であれば、赤字を繰越することができますが、仮想通貨の損失は繰越することができないのです。
こちらもなかなか厳しい税制となっており、例えばですが、仮想通貨投資において、初年度に▲3,000万の損失を計上し、翌年度に1億円の利益(いわゆる億り人)を出した場合、仮想通貨投資ではトータル+7,000万円の利益となりますが、何と税金は約5,000万円となるのです。
税金の計算においては、初年度は赤字なのでゼロとなります。
翌年度は1億円の利益なので、所得税+住民税の計算式によると1億円×55%-479.6万≒約5,000万となるのです。