仮想通貨税金のための移動平均法・総平均法について

村上 裕一
この記事の監修

村上裕一公認会計士事務所
代表 村上裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。
仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

query_builder 2021/06/12
仮想通貨
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こんにちは。公認会計士・税理士の村上です。


本日は、仮想通貨投資の損益計算で必要な「移動平均法と総平均法」について、簡単な計算式を用いてその内容を説明するとともに、留意点を説明します。

移動平均法・総平均法とは

原則として個人=総平均法、法人=移動平均法

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まず、原則ですが


個人で仮想通貨取引を所有している場合は総平均法

法人で仮想通貨投資をしている場合は移動平均法


となります。

これは、税務署に届け出をしない場合にはこの評価方法が採用されるという点で、「原則」としています。


ですので、税務署へ届け出を提出することによって、個人でも移動平均法を採用することができたり、法人でも総平均法を適用することができます



総平均法とその計算手法

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では、具体的に総平均法の計算手法を説明します。


総平均法の計算手法は、「期間中の取得枚数合計と取得金額合計をもって、平均の取得単価を算定する」ということになります。


具体的に以下の事例を用いて説明します。



仮想通貨の取引

 ①1月21日に仮想通貨を1枚100円で購入した

 ②その後、2月22日に上記と同じ仮想通貨を2枚買い増しした。金額は1枚当たり160円

 ③上記仮想通貨の時価が上昇したため、3月25日に1枚を200円で売却した 

 ④年度末近くになり、12月21日にさらに買い増しし1枚500円で購入した



上記の場合の取引ですが、下記のようになります。


年間の購入枚数が①、②、④で合計4枚

年間の購入金額が①、②、④の合計で920円

ここから、1枚当たりの単価は920円÷4枚=230円となるのです。


そのため、③で売却したものの、売却価額が200円、その売却にかかった取得価額が230円となるため、売却損が30円発生することとなるのです。



移動平均法とその計算手法

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では、次に移動平均法の具体例を解説します。


移動平均法とは、「取引(購入)の都度、単価を算定する」というやり方になります。



事例は総平均法と同じですが、具体的に以下の事例を用いて説明します。



仮想通貨の取引

 ①1月21日に仮想通貨を1枚100円で購入した

 ②その後、2月22日に上記と同じ仮想通貨を2枚買い増しした。金額は1枚当たり160円

 ③上記仮想通貨の時価が上昇したため、3月25日に1枚を200円で売却した 

 ④年度末近くになり、12月21日にさらに買い増しし1枚500円で購入した



上記の事例ですが、取引内容自体は総平均法と同じですが、移動平均法を適用することで計算結果が大きく異なり、以下のようになります。



2月22日の購入時点において、3枚を420円で購入しているため、この時点の単価が420円÷3枚=140円となります。


その後、3月25日に1枚を売却し、2枚280円(1枚当たり140円)となります。

最後に12月21日の購入によって、3枚780円となるので、年度末での取得単価は780円÷3枚=260円となるのです。


結果的に3月25日の売却時点においては、売却額200円で、その時点の売却単価が140円であるために、売却益が60円発生することになります。



移動平均法・総平均法の留意点

投資期間トータルの損益は同じ


いかがでしたでしょうか?

同じ取引でも、移動平均法と総平均法の評価方法の違いだけで損失と利益になるというのは意外だったかもしれません。


ですが、大事なのは事業年度では差が生じるものの、投資期間のトータルで考えると移動平均法と総平均法でも同じ結果になるという点です。


事業年度内で何十、何百と取引を実施するために、取引によって損益が生じますが、投資期間全体での利益は投資期間全体の売却額-投資期間全体の購入額となり、投資期間全体の損益は、移動平均法と総平均法で変わらないのです。



総平均法は年度末まで損益が確定しない

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また、次の留意点としては、「総平均法は年度末まで損益が確定しない 」という点です。


総平均法はあくまでも「年度内の合計取得枚数と合計購入金額から平均単価を算定する」方法です。


そのために、事例にあるように、年度末に高い価額で仮想通貨を購入することで、期中の売却損益が変わることになります。


逆に言うと、期中の売買で利益が大きく出ており、年度末の仮想通貨の時価が高い時に仮想通貨を購入することで、期中の利益を減らし、節税をすることもできます。



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