大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。
仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
仮想通貨の税金の3つの計算方法と各メリット・デメリット
村上裕一公認会計士事務所
代表 村上裕一
こんにちわ。公認会計士・税理士の村上です。
本日は、みなさまからよく意見をいただく「仮想通貨の損益計算の方法」について解説します。
・仮想通貨投資を行っているものの一体どうやって損益計算すればいいか分からない
・損益計算は何かツールがあるのか
といった方に向けた解説となります
主な計算方法とメリット・デメリット
主な計算方法は3通り
それでは、具体的に仮想通貨投資の損益計算の方法を解説します。
大きく分けると損益計算の方法は3種類あります。
①G-taxやクリプトリンクなどの市販のソフトを利用する
②年間取引報告書や取引履歴をもとに自身で計算する
③税理士や仮想通貨投資の損益計算を専門としている専門家に依頼する
それぞれのやり方の詳細は下記です。
①市販のソフトを使用する方法
これが最もメジャーな方法かと思います。
Google検索にて「仮想通貨 損益計算 ソフト」などで出てくるソフトを使用するやり方となります。
G-taxやクリプタクト、クリプトリンクなどの損益計算ソフトを使用するやり方となります。
②自身で計算する方法
次に、自身で計算する方法です。
特に国内取引所であれば、年間取引報告書が年明けに送付されてくるので、それをベースに計算したり、取引履歴を出力し計算したりするやり方です。
③専門家に依頼する方法
こちらは、税理士や仮想通貨の損益計算を代行する専門家に計算を代行してもらうというやり方になります。
それでは各方法についてのメリット、デメリットを説明します。
①市販のソフトを使用するメリット・デメリット
まず、市販のソフトを使用するメリットとなります。
大きなメリットは単純な計算を反復で正確に実施できることになります。
市販のソフトであれば、仮想通貨の損益計算に特化したプログラムが作成されています。
プログラミングで計算するため、反復計算は正確にかつ速く実施することができます。
また、そのまま確定申告まで対応しているソフトも多いのも魅力的です。
確定申告においては仮想通貨の計算根拠を提出する必要はありませんが、のちのちに税務調査が入った際にはどういった計算を実施したのかの資料の提出が求められます。
そのため、その際にも使えるというのが良い事となります。
さらに、コストが比較的安いというのもメリットの一つになっています。
①市販のソフトを使用する方法と③専門家に依頼する方法はどうしてもコストがかかりますが、③専門家は専門家による高い単価の報酬がかかるために、コストが割高になりやすいのです。
市販ソフトは専門家に比べるとリーズナブルな価格で実施することができます。
そんな仮想通貨の市販ソフトを使うデメリットですが、以下の3つがあります。
1つ目は、エラーの解消に時間や手間がかかる可能性があること、場合によってはサポートの料金が必要になることです。
意外と取り込みのエラーは多く発生するのです。
エラー解消に問い合わせの窓口に相談したり、別途追加料金がかかったりします。
実際に、弊社の問い合わせで「仮想通貨の計算ソフトを使用しているもののエラーの解消方法が分からない」という問い合わせも多いのです。
2つ目は、対応していない取引所のデータは自身で計算しなければならない点です。
現在は非常に多くの仮想通貨取引所が存在しています。そのため、マイナーな取引所であれば対応していない可能性があります。
多くの取引所(日本の取引所や海外のメジャーな取引所)は対応していますが、マイナーな取引所をご利用されている場合は、事前に損益計算ソフトが対応しているか確認する必要があります。
3つ目は、損益計算システムで対応していない取引の種類があった場合は、自身で計算する必要があることです。
仮想通貨の損益計算は、複雑です。
例えば商品と決済した場合や、マイニングによる収入があった場合、ステーキングによる仮想通貨の付与があった場合、ICOによる付与、エアドロップによる付与・・・などの様々なケースが想定され、全ての取引種類に対応していない場合があります。
そのため、その取引種類を行っている場合は、ご自身で計算しなければならない可能性もあります。
②自身で計算する場合のメリット・デメリット
続いて、②自身で計算する場合のメリットとなります。
このメリットは何といっても料金がかからないという点です。
ご自身で計算するので、時間はかかるものの、無料となります。
自身で計算する場合のデメリットとしては以下の3つとなります。
1つ目はです
自身で計算するために、自身で取引の履歴や取引報告書を集計し、自身で評価方法などを算定し、仮想通貨投資の損益を計算しなければなりません。
2つ目は集計や計算のミスの可能性があることです。
仮想通貨投資はすべての取引所のデータを集計しなければならず、取引所や取引履歴が網羅的に検証されているかが大事でs。
また、評価方法についても基本は総平均法を適用しますが、ご自身で計算することで総平均法の計算方法を誤る可能性があります。
3つ目は計算方法(移動平均法や総平均法、各種取引での損益発生の有無)の理解が必要なことです。
ご自身で計算する場合は、計算方法の理解はもちろん、マイニングやICOといった仮想通貨投資での独特の取引とその課税関係についての理解が必要となりますが、そのための勉強や、正しい理解が必要となります。
③専門家に頼む場合のメリット・デメリット
最後に、③専門家に依頼する方法となります。
このメリットは何といっても正確に損益計算を実施できることです。
また、仮想通貨を専門としている専門家に依頼することで、仮想通貨の損益計算のみならず、節税テクニックも教えてもらえる可能性があります。
さらに、仮想通貨の専門家であるために、ステーキングにおける損益の計算方法はどうすればよいの?といった形で仮想通貨の取引と課税の関係についての質問をすることができます。
専門家として税理士を利用する際は、万が一に税務調査に当たっときも強い味方になってくれます。内容を理解し、税務調査で不利にならないような交渉を進めてくれるのも専門家を利用する強みとなります。
③専門家に依頼する場合のデメリットとなりますが、比較的多額の報酬がかかることです。
専門家自体、報酬単価が比較的高くなっているのですが、専門家による計算は手計算や損益計算システムを活用しての計算になり、専門家の時間がかかっています。
また、仮想通貨の利益は多額になりやすく、慎重に計算しなければなりません。
仮想通貨の損益計算を専門とする専門家であれば、通常は内部で二重チェックしていますので、その分の時間もかかっています。 どうしても高い報酬が発生するのが専門家に依頼する場合のデメリットとなります。
メリット・デメリットのまとめ
まとめ
以上が、仮想通貨投資の損益計算方法と各手法のメリット・デメリットとなります。
まとめると、下記の表になります。
メリット | デメリット | |
①G-TAX、クリプトリンクなどの市販のソフトを使用する | ①単純な計算を反復で実行できる ②そのまま確定申告の記入金額の根拠として利用できる ③コストが比較的安い |
①エラーが起こり、エラーの解消に手間と時間がかかる可能性がある ②ソフトによっては対応していない取引所が存在し、別途手計算の必要が生じる可能性がある。 ③ソフトによっては対応していない取引種類が存在し、別途手計算の必要が生じる可能性がある。 |
②年間取引報告書や取引履歴などからご自身で計算する | ①何といっても費用。コストが一切かからない。 | ①自身で計算するために手間や時間がかかる ②集計や計算ミスが生じる可能性が高い ③計算方法(移動平均法や総平均法)や取引による損益計算(マイニングは収益なのか、など)の理解が必要 |
③税理士や仮想通貨の損益計算を専門とする専門家に依頼する | ①正確に損益計算を実行できる ②税理士であれば仮想通貨投資に関する税務や節税テクニックを教えてくれる ③万が一の税務調査になった際でも、税理士なら強い味方として戦ってくれるので安心できる |
①費用が高い |