仮想通貨の交換時は、税金に注意しよう!
こんにちわ。公認会計士・税理士の村上です。
本日は、仮想通貨(暗号資産)の交換時には税金に注意するべきという点を解説していきます。
実際にあったケースですが、2017年の仮想通貨バブル及びその後の暴落の時には、納税すべき税金を納税することができない人が続出しました。
仮想通貨の交換は、納税する義務が生じてしまいます。
一方、交換によっては、実際に売却を行ったわけではないので通帳に預金残高は増えていないのです。
今回は、この仮想通貨同士の交換で課税所得が発生する旨、およびそれに備えた対策をここで解説します。
仮想通貨の交換
仮想通貨の交換で所得が発生
国税庁が仮想通貨(暗号資産)に関する税務として
「暗号資産に関する税務上の取扱い」を公表しています。
国税庁HP「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/
ここで、仮想通貨で確定申告が必要とされる4つのケースが明記されています。
【仮想通貨で確定申告が必要なケース】
①仮想通貨を売却したとき
②仮想通貨で商品を購入(決済)したとき
③仮想通貨同士の交換を行ったとき
④仮想通貨をマイニングにより取得したとき
③にあるように、仮想通貨を交換することによって、仮想通貨で利益(所得)が発生したとみなされてしまいます。
これは、税務上の考えでは、仮想通貨を交換したというのは、いったんその仮想通貨を売却し、別の仮想通貨を購入したとみなされるためです。
例えば、時価100万円の時にビットコインを1枚購入。その後ビットコインの時価が上昇し400万円/枚になったタイミングで、ビットコイン1枚(時価400万円)をイーサリアム40枚(1枚10万円を40枚=400万円)と交換した場合
●イーサリアム取得額:10万円×40枚
●ビットコイン購入額:100万円×1枚
→この差額である300万円が所得として課税の対象としてカウントされるのです。
少しわかりづらいかもしれませんが、税務上は
①ビットコインを1枚を100万円で購入
②当該ビットコインを1枚400万円で売却
③売却した400万円を元手に、イーサリアムを40枚取得
という3つのステップが行われたと仮定しており、②の売却時において300万円の売却益が発生した
とみなされるわけです。
なお、上記は仮想通貨交換時の時価が購入時の時価より高い場合のみです。
交換によって損が生じる(購入時の時価より低い価格で交換する)場合には、仮想通貨で所得が生じているわけではありません。
ですので、交換で損が生じている場合には、納税義務が追加で生じることはありません。
通帳に現金がなくても納税の義務が発生
ここで一つ問題が発生します。
交換時に所得が発生し、課税対象としてカウントされるものの、実際には売却したわけではないため、交換を行った人の預金口座の残高が増えてないのです。
すなわち、
預金口座の残高は増えていないものの、課税義務が生じてしまうのです。
上の例であれば、交換によって300万の課税所得が新たに生じており、それに対応する部分の納税義務が発生することとなります。
仮想通貨の所得は雑所得として総合課税の対象になります。他の所得によりますが、300万の課税所得だとある程度の金額を納税することを覚悟しなければなりません。
仮に、年収が500万円の会社員が、上記仮想通貨の交換を行った場合、仮想通貨の雑所得としての課税所得が300万円加算されることとなります。
年収500万円および仮想通貨の雑所得300万円であれば、おおよそ(※)所得税20%及び住民税10%となりますので、仮想通貨の雑所得300万円×30%である90万円の納税義務が生じます。
(※)上記はざっくりした試算であり、実際は所得控除項目などによって増減します。
例のケースであれば、保有しているビットコインの時価が上がったタイミングでイーサリアムに交換した。
預金残高は一切増えていないものの、90万円の追加の納税義務が生じてしまった
ということになってしまいました。
交換時は税金を試算しておこう
税金を試算しておこう
以上が、仮想通貨の交換時には納税義務が発生するので留意するべきという内容となります。
大事なのは、事前に納税額をシミュレーションしておき、納税額を確保しておくことです。
所得税の税率は下の表のとおりです。別途、住民税が10%かかってきますので、下の税率+10%がざっくりした税金額となります。
仮想通貨を取得した時の価額と、仮想通貨を交換した時の価額を「雑所得」として加算し、
おおよその税金の追加徴収分を算定しておくのが望ましいです。
仮想通貨同士の損益は通算可能
また、同一年度内であれば、他の仮想通貨の損失を充当することができます。
例えば、ビットコインで300万の利益が出たとして、同一年度内にリップルなどの他の仮想通貨で100万の損失を出せば、200万の所得が課税対象となります。
こちらですが、株やFXの損失とは充当できないので注意です。
今回は、仮想通貨の交換の論点でした。
ではまた~
NEW
-
query_builder 2021/03/06
-
仮想通貨の税金計算における経費の範囲
query_builder 2021/03/03 -
仮想通貨の利益20万以下の場合の税金について
query_builder 2021/02/27 -
仮想通貨の税金は分離課税の対象ではない
query_builder 2021/02/22 -
【仮想通貨の税金】仮想通貨の所得を事業所得にできるか?
query_builder 2021/02/05